1か月以内の一定期間を平均し、1週間の所定労働時間が40時間を超えない範囲内において、特定の日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1か月単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、次の5つを定める必要があります。
- 変形期間の起算日を定め、
- 変形期間を1か月以内とし、
- 変形期間における法定労働時間の総枠(*1)の範囲内で、
- 各日、各週の労働時間を特定し、
- 各日の始業及び終業時刻を具体的に定める。
(*1) 表1:法定労働時間の総枠
変形期間 |
法定労働時間 |
40時間の業種 |
44時間の業種(*2) |
28日の月 |
160時間 |
176時間 |
29日の月 |
165時間 |
182時間 |
30日の月 |
171時間 |
188時間 |
31日の月 |
177時間 |
194時間 |
(*2) 法定労働時間が44時間の業種(特例対象事業場)… 常時使用する労働者が10人未満の商業、映画、演劇業、保健衛生、接客娯楽業の事業場。
変形労働時間制では、あらかじめ特定された所定労働時間内にある限り、1週40時間を超え、または1日8時間を超えて労働させても、時間外労働とはなりません。
しかし、次の場合は時間外労働となります。
- 所定労働時間が法定労働時間を超えて設定されている週または日に、その所定労働時間を超えた場合
- 所定労働時間が法定労働時間を超えていない週または日に、法定労働時間を超えた場合
したがって、変形労働時間制の時間外労働の計算方法は、
(A) 1日について、
(B) 1週について、
(C) 変形期間について、の順で計算し、その合計時間数を時間外労働の時間数とします。
(A) 1日についての算定 |
- 所定労働時間が8時間を超える日の場合、その所定労働時間数を超えて労働した時間数
- 所定労働時間が8時間より少ない日の場合、1日8時間を超えて労働した時間数
- 上記の時間数を合計します。
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(B) 1週についての算定 |
- 所定労働時間が週40時間を超える週の場合、その週の所定労働時間数を超えて労働した時間数
- 所定労働時間が40時間より少ない週の場合、週40時間を超えて労働した時間数、ただし、(A) 1日についてで時間外労働となった時間は除きます。
- 上記の時間数を合計します。
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(C) 変形期間についての算定 |
- 変形期間における法定労働時間の総枠(*1)を超えて労働した時間数を計算します。ただし、(A) 1日について、(B) 1週についてで時間外労働となった時間は除きます。
- 合計時間数を計算します。
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※
(A) 1日について +
(B) 1週について +
(C) 変形期間について = 変形期間における時間外労働となる時間数