労使協定の届出要否と有効期間要否
主な労使協定の種類
労使協定の種類 |
法律・条文 |
労基署への届出 |
有効期間の定め |
(1) |
時間外・休日労働に関する協定(36協定) |
労基法36条 |
要 |
要 |
(2) |
特別条項付き時間外・休日労働に関する協定 |
労基法36条 |
要 |
要 |
(3) |
1年単位の変形労働時間制に関する協定 |
労基法32条の4 |
要 |
要 |
(4) |
1か月単位の変形労働時間制に関する協定 |
労基法32条の2 |
要 (*1) |
要 |
(5) |
1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定 |
労基法32条の5 |
要 |
要 |
(6) |
フレックスタイム制に関する協定 |
労基法32条の3 |
不要 |
不要 |
(7) |
事業場外労働のみなし労働時間制に関する協定 |
労基法38条の2 |
要 (*2) |
要 |
(8) |
一斉休憩の適用除外に関する協定 |
労基法34条2項 |
不要 |
不要 |
(9) |
専門企画業務型裁量労働制に関する協定
※企画業務型裁量労働制=労使委員会(*3)で4/5以上の賛成で可
|
労基法38条の3、38条の4 |
要 |
要 |
(10) |
貯蓄金管理に関する協定
(労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合=社内預金)
|
労基法18条 |
要 |
不要 |
(11) |
法定控除項目以外の賃金控除に関する協定
(※賃金全額払いの例外)
| 労基法24条1項 |
不要 |
不要 |
(12) |
割増賃金の支払に替えて年次有給休暇付与する協定 |
労基法37条3項 |
不要 |
不要 |
(13) |
年次有給休暇の計画的付与に関する協定 |
労基法39条5項 |
不要 |
不要 |
(14) |
年次有給休暇の賃金を標準報酬日額とする協定 |
労基法39条6項 |
不要 |
不要 |
(15) |
育児休業制度の適用除外者に関する協定 |
育休法6条1項 |
不要 |
不要 |
(16) |
介護休業制度の適用除外者に関する協定 |
育休法12条2項 |
不要 |
不要 |
(*1) 労使協定によらず、就業規則により定めた場合は届出不要です。
(*2) 事業場外労働の遂行に通常必要な時間が法定労働時間以下の場合は、届出不要です。1日8時間を超えるみなし時間を協定した場合には届出が必要となります。
(*3) 「労使委員会」とは、事業の重要な決定が行われる事業場において、賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とし、使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とします。
労使協定とは
労使協定とは従業員(労)と使用者(使)との間の労働基準法、育児・介護休業法等で定められた事項に関する合意文書です。
労使協定の締結の単位
労使協定は、事業場単位で締結することになります。
この場合、労使協定を締結する会社側(使)の当事者は各事業場の責任者(支店長、工場長、営業所長など)でもかまいません。従業員側(労)の当事者は、事業場に従業員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、従業員の過半数で組織する労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者になります。この労使間で書面により協定しなければなりません。
労使協定の周知義務
労働基準法で定められている労使協定は、周知義務が定められていますので、必ず労働者に周知しなければなりません。
労使協定を締結すべき事項
就業規則に規定を設ける場合、労使協定を締結しなければ成立とならない事項があります。
上表「労使協定の種類」欄をご参照ください。
労使協定の届出義務
労使協定には、労働基準監督署(労基署)への届出義務のあるものと、労使協定締結のみで成立するもの(届出義務のないもの)があります。
届出の要否は上表「労基署への届出」欄をご参照ください。
労使協定の有効期間の定め
昭和29年の労基法改正時に、
有効期間は制限を設けるべき理由はないので、他の労使協定の内容と同様当事者の自主的決定に委ねるべき事項である。
とされ、有効期間の規制はしないこととされました。
ただし、時間外・休日労働に関する協定(36協定)においては、1年間の延長時間を定める場合は有効期間が最も短い場合でも1年間となります。
有効期間の定めの要否は上表「有効期間の定め」欄をご参照ください。
労使協定の破棄
労使協定の有効期間中の破棄については、民法521条の規定により、
期間の定めのある契約は、一方的には破棄できない。
こととされています。
解釈例規でも、
労基法第36条により時間外又は休日労働の協定を行っている事業場において、協定の有効期間内に労働者又は使用者より一方的に協定破棄の申入れをしても、他方においてこれに応じないときは協定の効力には影響ない。
としたものがあります。
ただし、協定の中に破棄条項がある場合は、それが定める手続きにより解約することは可能です。
関連情報
労使協定について下記のページでもご案内、情報提供しております。
最終更新日:2015.02.25